点呼の種類と方法
《乗務開始前の点呼》
乗務の開始前に、運転者や自動車が安全に運行できる状態かどうか報告を求め確認するとともに必要な指示を与えます。
乗務開始前の点呼では、以下のようなことを行います。
事項 |
内容 |
報告を求める事項 | ・日常点検の実施状況 ・酒気帯びの有無 ・疾病、疲労等の状況 |
確認事項 | ・日常点検の実施状況 ・酒気帯びの有無 ・疾病、疲労等の状況 (携行品等の状況確認等) |
指示事項 | 運行の安全を確保するために必要な指示(運行経路/運行時間/運行上の注意/運行経路の道路状況及び気象状況等) |
記録事項 | 点呼執行者名/運転者名/乗務する車両の登録番号/点呼日時/点呼方法(アルコール検知器の使用の有無、対面でない場合は具体的方法) /酒気帯びの有無/疾病、疲労等の状況/日常点検の状況/指示事項/ その他必要な事項 |
運行管理者は、乗務前の点呼において、以下の点に注意しなければなりません。
- 酒気帯びの状態にある乗務員を車両に乗務させてはなりません。
- 疾病、疲労、その他の理由により安全な運転をすることができない、またはその補助をすることができないおそれがあると判断した乗務員を車両に乗務させてはなりません。
※その他の理由とは、覚せい剤や禁止薬物等の薬物の服用、異常な感情の高ぶり、睡眠不足等を指します。
◎乗務前点呼記録の内容
乗務前点呼の記録内容は、次のとおりです。
- 点呼執行者名
- 運転者名
- 運転者の乗務に係る事業用自動車の自動車登録番号又は識別できる記号、番号等
- 点呼日時
- 点呼方法
・アルコール検知器の使用の有無
・対面でない場合は具体的な方法 - 酒気帯びの有無
- 運転者の疾病、疲労の状況
- 日常点検の状況
- 指示事項
- その他必要な事項
《乗務終了後の点呼》
乗務の終了後に、運行の安全にかかる状況について報告を求め確認をします。
乗務終了後の点呼では、次のようなことを行います。
事項 |
内容 |
報告を求める事項 | 事業用自動車、道路及び運行状況/事業用自動車の状況/事故又は異常の有無/運行した経路の道路、交通、気象の状況/交替運転者に対する通告(乗務記録、チャート紙、携行品等の提出) |
確認事項 | 酒気帯びの有無 |
指示事項 | ・運転者の運行状況(乗務記録、チャート紙)に対する指導
・次回の運行予定 |
記録事項 | 点呼執行者名/運転者名/乗務する車両の登録番号/点呼日時/点呼方法(アルコール検知器の使用の有無、対面でない場合は具体的方法)/自動車、道路及び運行の状況/酒気帯びの有無/交替運転者に対する通告/その他必要な事項 |
乗務終了後の点呼の締めくくりには、「ご苦労様でした」「お疲れ様でした」といった、言葉を運転者へかけながらコミュニケーションを取ることが大切です。
◎乗務後点呼記録の内容
乗務後点呼の記録内容は、次のとおりです。
- 点呼執行者名
- 運転者名
- 運転者の乗務に係る事業用自動車の自動車登録番号又は識別できる記号、番号等
- 点呼日時
- 点呼方法
・アルコール検知器の使用の有無
・対面でない場合は具体的方法 - 自動車、道路及び運行の状況
- 交替運転者に対する通告
- 酒気帯びの有無
- その他必要な事項
《中間点呼》
貨物自動車運送事業者は、乗務前、乗務後のいずれも対面で行わない場合、乗務の途中に少なくとも1回点呼をしなければなりません。これを中間点呼といいます。
中間点呼では、次のようなことを行います。
事項 |
内容 |
報告を求める事項 | ・酒気帯びの有無 ・疾病、疲労等の状況 |
確認事項 | ・酒気帯びの有無 ・疾病、疲労等の状況 |
指示事項 | 運行の安全を確保するために必要な指示(運行経路/運行時間/運行上の注意/運行経路の道路状況及び気象状況等) |
記録事項 | 点呼執行者名/運転者名/乗務する車両の登録番号/点呼日時/点呼方法(アルコール検知器の使用の有無、対面でない場合は具体的方法)/酒気帯びの有無/疾病、疲労等の状況/指示事項/その他必要な事項 |
◎中間点呼記録の内容
中間点呼の記録内容は、次のとおりです。
- 点呼執行者名
- 運転者名
- 運転者の乗務に係る事業用自動車の自動車登録番号又は識別できる記号、番号等
- 点呼日時
- 点呼方法
・アルコール検知器の使用の有無
・対面でない場合は具体的な方法 - 酒気帯びの有無
- 運転者の疾病、疲労の状況
- 指示事項
- その他必要な事項
◎点呼をする場所
運転者が乗務を開始する前および乗務を終了した時に、運転者が所属する営業所で点呼を実施します。原則として、対面でなければなりません。
運行上やむを得ない場合には、電話その他の方法ですることも認められています。
「運行上やむを得ない場合」とは、遠隔地で乗務が開始または終了するため、対面で点呼をできない場合をいいます。
車庫と営業所が離れている場合又は早朝・深夜等において点呼執行者が営業所に出勤していない場合等は「運行上やむを得ない場合」に該当しません。
◎運行管理者が点呼を行う
点呼は運行管理者が行わなければなりません。補助者が選任されている場合は、点呼全体の3分の1未満に限って、補助者に点呼を行わせることもできます。
◎IT点呼が出来る事業者は?
点呼は対面が原則です。Gマークを取得した貨物自動車運送事業者は、国土交通大臣が定めた機器を用いた点呼(IT点呼といいます)を行うことができます。
《IT点呼とは??》
IT点呼とは、IT機器を用いて行う点呼のことです。IT機器の画面を通して点呼を行います。
貨物運送事業者の営業所における点呼は対面で行わなければなりません。「安全性優良事業所(Gマーク取得事業所)」であって、一定の条件を満たせば、IT機器を用いた点呼を行うことができます。
◎IT点呼を実施するための条件
- 国土交通省が定めた機器
IT点呼は、国土交通省が定めた機器により実施しなければなりません。それ以外の機器を使用した点呼は認められません。 - Gマーク取得
IT点呼を実施するには、点呼執行者の所属営業所と運転者の所属営業所の双方がGマークを取得する必要があります。 - 営業所と他の営業所間でのIT点呼
IT点呼の実施は、1営業日のうち連続する16時間以内とされています。 - 営業所と他営業所所属車庫間でのIT点呼
IT点呼の実施は、2営業所間と同様に1営業日のうち連続する16時間以内とされています。 - 営業所と所属車庫間でのIT点呼
実施時間に制限はありません。 - IT点呼記録簿の保存
実施したIT点呼記録簿をIT点呼実施営業所、被実施営業所の双方で保存する必要があります。 - IT点呼の申請
IT点呼を実施する場合、10日前までに管轄の運輸支局等に申請する必要があります。
◎Gマークを取得していない営業所でIT点呼ができる条件
Gマークを取得していない営業所でも、以下の4つの要件を満たす場合にIT点呼ができるようになりました。
- 営業所が開設されてから3年を経過していること。
- 過去3年間、第1当事者となる自動車事故報告規則に掲げる事故を引き起こしていないこと。
- 過去3年間点呼の違反に係る行政処分又は警告を受けていないこと。
- 地方貨物自動車運送適正化事業実施機関が行った直近の巡回指導において、総合評価が「D、E」以外であり、点呼の項目の判定が「適」であること。
または巡回指導時に総合評価が「D、E」若しくは点呼の項目の判定が「否」であったものの、3ヶ月以内に改善報告書が提出され 総合評価が「A、B、C」であり、点呼の項目の判定が「適」に改善が図られていること。